こんにちは。
ここにお集まりいただいた方はきっと、何かの曲でDiskoriaという文字を見たけれど、「Diskoriaは歌手なのか?作曲家なのか?いったい何者?」という疑問を抱えた方々、もしくは「Diskoriaの正体は知っているけどもっと知りたい!」という方々でしょう。ようこそ。
今回はDiskoriaについての私の知っている限りの知識を共有させていただきます。そして今回、Diskoria本人から日本のファンへのメッセージもいただきました。Diskoriaのお二人、ありがとうございます🙏
Diskoriaって何者?
Diskoriaは、インドネシア出身のDJデュオ。Merdi SimanjuntakとFadli Aatの二人組。
「インドネシアのディスコ音楽に選択肢を提供すること」を目的に、2015年に結成しました。
2000年代初期のインドネシアのディスコでは、海外の曲ばかりが重宝され、インドネシアの曲を流すことを禁止するクラブさえもあったとか。
そのような状況の中、Diskoriaはインドネシアの過去の音楽を再評価し、現代風にアレンジして、各地のクラブで演奏をし始めます。彼らの活動を通して、インドネシアレトロポップスのクオリティの高さ、欧米の音楽とは違った魅力に、人々は気付きはじめます。そしてこの盛り上がり。
また、2019年からは、様々なプロデューサーや歌手達とコラボし、楽曲制作も開始。作詞•作曲家は曲によって異なりますが、最初の三部作はインドネシアでも人気のヒットメーカーLaleilmaninoが担当し、話題になりました。
これまで、様々なアーティストを招いて7作品をリリースしていますが、いずれもインドネシアの過去の音楽を想起させるような楽しい楽曲になっています。後ほど1作品ずつご紹介します。
Diskoriaの来日ライブ
実はDiskoria、2018年10月に来日し、高円寺のライブハウスSubstoreで行われたAsian Grooveというイベントなどに出演したようです。
こちらが来日の様子。
当時のSubstoreでのイベント情報がこちらに載っているんですが、1drink付きで1000円って破格すぎ!
またの来日を楽しみにしております!
Diskoriaの7作品を紹介
2021年12月現在で、DiskoriaのレーベルSuara Diskoから出ている7作品を紹介します。曲作りの際のDiskoriaの立ち位置は、総監督。作詞作曲は、他の方がいますので、Diskoriaは曲のコンセプトを決めたり、レトロインドネシアポップスの要素を盛り込んだりする、ということだと思います。
Balada Insan Muda
ディスコで80年代頃のレトロインドネシアポップスをセレクトするDJとして活躍していたDiskoria。2019年の1作目”Balada Insan Muda”を皮切りに、曲作りにも着手します。
作詞作曲を手がけたのは、有名ポップグループRANとMaliq & D’essentialsのメンバーから構成される3人組のプロデューサー集団Laleilmanino。
イージーリスニングで可愛いこの曲。Diskoriaによると、80年代の音楽に特徴的なロマンティックなサウンドを表現したかったとのこと。歌詞がとっても甘くて、詩的な表現が散りばめられています。MVでは、好きになった人を一途に追いかけるカメラマンの姿が描かれていますね。(若干スートーカーっぽい!?)
この曲に関しては、歌手の方の情報がとても少ない!どうやらYassereno Omar, Barsena Besthandi, Elfa Tahmilaという3名がボーカルのようなのですが。
Serenata Jiwa Lara
2作目は2020年3月にリリースされた”Serenata Jiwa Lara”。メロディは、スカルノ大統領の息子で作曲家の、Guruh Soekarnoputraが作曲した”Lagu Putih”がモチーフとなっています。(名曲!)
Diskoriaの他に、この曲の制作に関わった豪華な3組のアーティストをご紹介します。
まずは先ほどからご紹介しているプロデューサーのLaleilmanino。MVにも演奏者としてしっかり出演しています。
お次にメインボーカルのDian Sastro。インドネシアを代表する大女優さんです。
次に紹介するのは、MVのレトロ可愛いアートワークを担当したSaleh Husein 。White Shoes and The Couples CompanyとThe Adamsというバンドのギターボーカルでもあります。
この曲の徳が高いポイントは、インドネシア音楽の保存活動を行う財団Irama Nusantaraへの支援に貢献しているところ。この曲の12インチレコードはオークションにかけられ、その収益はIrama Nusantaraに寄付されたということです。曲が素晴らしいのはもちろんのこと、インドネシア音楽業界の発展を大きな視点で支えている点が素敵。
ちなみにIrama Nusantaraについてはこちらで紹介しています。
C.H.R.I.S.Y.E
3作目は2021年1月にリリースされたC.H.R.I.S.Y.E。今のところ、Diskoriaの最大のヒット作です。煌びやかで大好き✨
タイトルのとおり、70年代頃から親しまれているインドネシアの伝説の歌手Chrisyeをモチーフにした曲。
この曲については、歌詞にとある秘密が散りばめられていたり、24時間以内で作品を作った制作過程がとても面白いので、1本別記事を書いてご紹介しています!
Pelangi Cinta
2020年10月にリリースされたDiskoria4作品目”Pelangi Cinta”。
1980年代に歌手Jamal MirdadやHetty Koes Endang によって歌われた有名曲。今回Diskoriaによってカバーされた”Pelangi Cinta”を歌うのは、そのHetty Koes Endangの娘、Afifah Yusufです。親のヒット作をカバーするって荷が重いことでしょう。
Jamalによるオリジナルバージョンの歌詞は、男性目線の歌詞だったので、今回女性目線の歌詞に少しアレンジしたとか。
ちなみにお母さんHettyによるバージョンはこちら。
Simfoni Rindu
Diskoria5作品目の”Simfoni Rindu”は、インドネシアの配車サービスGojekの支払サービスGoPayとのコラボ作品として制作されました。歌手として参加したのはバンドReality ClubのボーカルFathia Izzatiと俳優のJoe Taslim。
作詞作曲は、FlEUR!のTanyaとYuyiです。FLEUR!については、次の曲でご紹介します。
2020年の年末にリリースされた曲で、「2020年はコロナで人に会えず悲しかったけど、2021年はもっと良い年になりますように!」というメッセージが込められた歌詞です。残念ながら2021年現在もコロナはまだ続いているので、2022年に向けてもう一度この曲を聴き、コロナ収束を願いましょう!
Suara Disko
2021年7月にリリースされたDiskoria6作目の”Suara Disko”。60年代の人気ガールズバンドDara Puspitaに影響を受けたスリーピースバンドFLEUR!が、前作に引き続き作詞作曲、演奏を担当しました。
歌うのは、ブギス族のエキゾティックなお顔立ちの女優Tara Basro。
歌詞には、”Aku si ratu pesta”(私はパーティの女王)というフレーズがあり、ガールズバンドFleur!や女優のTaraが中心となって制作した今回の楽曲にピッタリだと思いました。
この曲も、C.H.R.I.S.Y.E同様24時間以内に制作されたというのが驚き。
Yth:NAIF
2021年11月にリリースされた7作品目のYth:NAIFは、2021年5月に解散を発表したバンドNAIFに捧げる曲。NAIFは1995年に結成されたロックバンドで、優しさと脱力感溢れる不思議な魅力のバンドです。
作詞作曲は、バンドWhite Shoes and The Couples Companyのベーシスト&チェリストのRicky Surya Virganaらが担当。歌手は、Isyana SarasvatiとArdhito Pramonoという実力派シンガー二人の意外な組み合わせ。
バックコーラスには、KawaNAIFと呼ばれる、NAIFのファンが参加した点も面白いですね!
NAIFの2002年のアルバム収録曲Yts: Ibuを想起させるタイトル、そして歌詞にはNAIFのメンバー名、MVはNAIFのアルバムジャケットが描かれ、NAIF愛が詰め込まれた一曲となっています。
ちなみにNAIFのとっても楽しいBestアルバムがこちら。
Bersinar Bersamamu
2022年3月リリースの曲。ギラギラディスコ感万歳の曲ですね。歌手のAdinda Dwimadasariさんはこの曲で初めて知りました。
Badai Telah Berlalu
2023年1月リリース。タイトルは1977年のChrisyeの曲”Badai Pasti Berlalu”という曲からインスパイアを受け、メロディーは、Utha Likumahuwaの1980年代の曲”Sesaat Kau Hadir”をオマージュしたものと思われます。ちなみにタイトルの”Badai Telah Berlalu”とは「嵐はもう過ぎ去った」という意味で、パンデミックの終焉を表しているそうです。
Diskoriaから日本のファンへのメッセージ
この度、ありがたいことにDiskoria本人から日本のファンに向けてメッセージをいただきました。感激です。
DiskoriaのAatからのメッセージを、日本語堪能なAatの娘さんが日本語に翻訳してくれたので、いただいた原文のまま載せます。
こんにちは。 さやさんと日本の友達、Diskoria のミュージック聞いてくれてありがとう。本当に嬉しいです。2018年には MoonShine, Substore, Breakfast Club で皆さんと一緒に踊ったり歌ったりするのがとっても楽しいかったです。すぐ日本戻りたいです(◍•ᴗ•◍) 皆さんがいつもDiskoria のミュージックを好きになることを願っています。 皆さん、また日本に会いましょう!
是非、Diskoriaのお二人とAatの娘さんにもお会いしたい😍素敵なメッセージをありがとうございます🙏
Diskoriaとレトロインドネシアポップスを聴こう!
以上、Diskoriaを紹介しました。Diskoriaの活動や作品自体が楽しいのはもちろんのこと、Diskoriaをきっかけにレトロなインドネシアポップスの世界がどんどん知れるのも二度楽しい!
Diskoriaが好きな方は、Diskoriaの作品と繋がりのあるChrisyeやGuruh Soekarnoputraなどレトロインドネシアポップスを、聴いてみるのも面白いと思います。
私がおすすめの80年代インドネシアポップスも、こちらの記事で紹介していますので是非!
以上、お読みいただきありがとうございました。
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