小学校教員資格認定試験に一発合格した勉強方法〜一次試験対策の概要〜

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小学校教員免許を筆記と面接のみで取得できる、「小学校教員資格認定試験」。この記事に辿り着いた皆さんの多くはきっと、この試験を受験しようと考えている方々でしょう。

私は2024年に小学校教員資格認定試験を初受験し、一発合格を果たしました。試験のみで教員免許を取れるなんてすごくお手軽!!と思ってましたが、いざ勉強を始めてみると、どう勉強すれば良いか、得られる情報が限定的で、この勉強法で良いのだろうか?と不安を抱えながら勉強を進めていました。

おそらく多くの受験生が情報不足の問題に悩んでいると思います。この記事では、これから受験しようと考えている皆さんの参考に少しでもなれれば良いなと思い、私が行った勉強方法(特に一次試験対策の概要)を共有します。

免責事項

この記事は、NITSのホームページ等に掲載されている2024年時点の公開情報をもとに、私の個人的見解・経験談を紹介したものです。年によって試験の傾向や、適切な対策方法が変わる可能性があることをご了承ください。

また、二次試験内容の情報を公開することは禁止されているため、ご質問にはお答えしかねますのでご了承ください。

私のプロフィール

簡単に私のプロフィールを紹介します。
教育関係ではない企業で働くアラサーOL。平日は通常9時〜20時頃まで勤務。
この試験を受けるまで、教員免許の勉強歴はゼロ。得意科目は英語で、TOEIC965点。

「お前のプロフィールに興味ないよ!」と言われそうですが、これから紹介する勉強法はあくまでも、「こんな私だからこそ合っていた」勉強法であり、皆さんにとっての最適な勉強法は皆さんの状況(確保できる勉強時間、これまでの勉強歴等)によっても異なってくる、ということをここでお伝えしたかったので、簡単に自己紹介しました。この記事で紹介する勉強法は参考程度に必要に応じて取り入れつつ、皆さんの強み・弱みを踏まえた勉強法を、ぜひ皆さん自身でカスタマイズしていただければと思います。

試験の概要

小学校教員資格認定試験の試験は以下の4つのパートで構成されています。(2024年時点)4パート全て満遍なく得点する必要があり、それぞれのパートの出題内容に即した対策が必要となります。

科目内容合格基準
教科および教職に関する科目(I)教職専門科目(教育史、)に関するマークシート択一式設問6割以上
教科および教職に関する科目(II)各教科の指導法や基礎的教科内容に関するマークシート択一式設問 
※国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語(英語)の 10 教科の中から6教科を選択して受験。なお,6教科には「音楽」,「図画工作」,「体育」のうち2教科以上を含める。
6割以上
(ただし選択した6教科のうち1教科でも最低基準(4割)に満たない場合は不合格)
教科および教職に関する科目(Ⅲ)小学校の各教科の指導法や基礎的教科内容に関する論述式設問
※国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語(英語)の 10 教科の中から
1教科を選択して受験。
6割以上
教科および教職に関する科目(Ⅳ)教職への理解及び意欲,児童理解,実践的指導力等,小学校教員として必要な能力等の全般に関する事項A・Bの2段階評価とし、Aを合格とする

近年の設問構成・内容はNITS(独立行政法人教職員支援機構)のHPの受験案内や過去問を参考にしてください。

各パートごとの対策

教科および教職に関する科目(I)

教科および教職に関する科目(I)には、20問の択一式設問があり、主に①教育史、②教育法規、③教育原理、学習指導要領の内容(道徳、特別活動、総合的な学習)、④学習心理の4つの分野で構成されています。

私が使用した参考書は、東京アカデミーの教員採用試験対策 参考書 教職教養I[教育原理、教育史]・Ⅱ[教育心理・教育法規]と、同じく東京アカデミーのセサミノートです。(ただ、参考書の読み込みを中心に行い、セサミノートは結局あまり使わなかったです。。)

そのほか、③教育原理の対策として、道徳、特別活動、総合的な学習の学習指導要領をしっかりと読み込みました。また、②教育法規では、学校教育法、教育基本法、地方公務員法等、いろんな法律が出てくるので余裕がある方は法律の原文をe-GOV(法律検索)で調べてみても良いかもしれません。

勉強方法としては、
Step1:東京アカデミーの教員採用試験対策 参考書をざっと読む
Step2:NITS(独立行政法人教職員支援機構)のHPに掲載されている過去問を解き、自分の苦手分野を把握するとともに、過去問で出た問題の領域を参考書や学習指導要領を読みながら復習する。(ただし、必ずしも全ての過去問が、参考書で解説されている訳ではない)過去問を分析し、傾向をつかむ。(例えば、①教育史、②教育法規、③教育原理、④学習心理の4分野がどのような内訳で出題されているか、など)
Step3:受験直前は、参考書・学習指導要領を詰め込む
という流れで勉強しました。

教科および教職に関する科目(I)は、主に暗記中心です。覚える内容が多く時間がかかるので、Step1,2は試験1年前に3ヶ月ほどかけて行い、試験直前の2-3ヶ月前にStep3の復習・詰め込みを行いました。

ここからは、2020~2024年の過去問傾向を踏まえた、個人的な見解・経験談です。
①教育史は、古代・中世の出題はあまりなく、近代・現代史中心の出題が多い印象だったので、近代・現代史中心で勉強しました。参考書の知識が役に立つ問題と、そうでない問題のブレが年によってあるので、そこまで力をかけすぎずに詰め込みました。
②教育法規と④教育心理は、比較的参考書の知識が役立つ問題が多い印象だったので、真面目に参考書を読みました。
③教育原理は参考書の内容で基礎知識はさらっと入れつつ、道徳・特別活動・総合的な学習の学習指導要領を読むことに重点を置きました。また、そのほかの各種ガイドライン(「障害のある子どもの教育支援の手引き」、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」等)からの出題もありましたが、そこまでは対策しきれませんでした・・。

教科および教職に関する科目(II)

この科目は、国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語(英語)の 10 教科の中から6教科を選択(そのうち6教科には「音楽」,「図画工作」,「体育」のうち2教科以上を含めなければいけない)する科目です。

まずはどの科目を選択するか、が重要になります。やはり、ご自身が得意だと思う科目、一通り過去問を解いてみて得点できそうだと思う科目を選ぶのが良いと思います。

私は、算数、生活、音楽,図画工作,体育,外国語(英語)の6科目を選びました。生活は、1,2年生のみの科目ということもあり出題範囲が狭く、得点しやすい印象だったので選びました。算数・音楽・外国語(英語)は、学生時代から得意科目だったので選びました。図画工作,体育は、ギリギリまで、選ばなかった他の科目(家庭科、国語、社会、理科)と迷ったのですが、過去問を解いた時の平均点が他の科目よりも高かったので選びました。

対策としては、まずしっかりと各科目の学習指導要領を読むこと。余裕があれば学習指導要領解説まで目を通すこと。そして過去問を解き、よく出題される領域を把握することが肝心です。

例えば、音楽の過去問を解いていくと、童謡の知識(譜面を読んで何の童謡かを回答する等)、リコーダーの運指の知識、コードや短調・長調に関する知識を問う問題など、頻出の領域が掴めてきます。リコーダーの運指やコードの知識なんて忘れてしまっていたので、ネットで調べたりして覚えました。

一応、東京アカデミーの専門教科も買ったのですが、参考書で幅広く学ぶよりも、過去問をまずは解いて、よく出題される領域を重点的に勉強した方が効率的です。

教科および教職に関する科目(Ⅲ)

教科および教職に関する科目(Ⅲ)は、国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語(英語)の 10 教科の中から1教科を選択する論述式設問です。

ここでもやはり、得意科目、興味のある科目を選択することをおすすめします。私は外国語(英語)を選択しました。

この科目もまずは過去問を解いてみて、どの程度既存の知識で論述できるかを試してみることをお勧めします。その上で、足りない知識は、選択した科目の学習指導要領学習指導要領解説「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料を読むことをおすすめします。特に、学習指導要領解説「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料は分量も多いので、試験直前にもパッと要点を見直せるように、要点をメモしておくと良い思います。論述では、その要点を盛り込みながら自分の考えも交えて作文をするイメージです。

例えば、「児童の興味関心を引き出し、児童の自主性を尊重するような授業を行う」、「学校の教育目標、他の科目との繋がりを意識しながら指導を行う」等、学習指導要領の考え方が根底にあった上で、設問に対するご自身の意見を論述できると良いかと思います。

教科および教職に関する科目(Ⅳ)

教科および教職に関する科目(Ⅳ)は、学習指導要領における重要テーマ(「主体的・対話的で深い学び」等)、近年の教育界の課題(いじめ問題等)に関する論述が2問出題されます。また、道徳、特別活動、総合的な学習の学習指導要領に関する論述がある時もあります。

年によって様々な内容の出題があり、対策が難しいかと思いますが、私が行った対策としては、
①道徳、特別活動、総合的な学習の学習指導要領をしっかり読む(教科および教職に関する科目(I)の対策にもなる)
NITSの動画教材を見て、ポイントをメモして覚える(特に、主体的・対話的で深い学び、カリキュラム・マネジメント、いじめ、道徳、特別活動、総合的な学習等の学習指導要領に関する動画)
ということを行いました。

出題予想は難しいかもしれませんが、NITSの動画教材で多く取り上げられているテーマは、それだけ教育界で重要なテーマだと思うので、動画を視聴しながら、この領域出そうだな〜、出たとしたらこんな回答をしたら良いだろうな〜と予想してみるのも良いかと思います。

勉強のスケジュール

勉強の計画を立てるにあたり、まずはNITS(独立行政法人教職員支援機構)のHPで、受験年度の受験日を確認してください。

私が受験した2024年は、6月に一次試験がありました。
勉強を開始したのは、2023年7月。あまり勉強時間が確保できなかった時もありましたが、教員免許に初挑戦ということもあり、1年間の勉強期間を確保しました。

大問が4つもあって、どの対策から行うか悩ましいですが、私は
(1)3ヶ月程度:大問Iの基礎知識詰め込み、過去問を解く&分析
(2)3ヶ月程度;「大問IIの科目ごとに1週間ずつ学習指導要領を読む+過去問を解く&分析」を2周
(3)3ヶ月程度:大問Ⅲ対策として、選択した科目の学習指導要領解説等を読み、過去問を解く&分析+大問Ⅳ対策として、NITS動画を毎日1動画視聴する&道徳、特別活動、総合的な学習の学習指導要領を読む
(4)3ヶ月程度:特に大問Iの暗記詰め込み、そのほかの大問の総復習

という流れで1年を過ごしました。これが必ずしも良かったのかどうかはわかりませんが汗

最後に

この記事を読んでくださった方は、教員資格認定試験を受験しようと考えている方、将来教員になることに興味がある方々だと思います。私も、まだ今後のキャリアは悩み中ではありますが、教育に興味があり教員資格認定試験を受験したので、読者の皆さんと勝手にシンパシーを感じています。

小学校教員不足が叫ばれているこのご時世に、教育に関心を持っているというだけでも、私たちは偉いと思います!(自画自賛)ぜひ、教育に少しでも関心がある、新しいことにチャレンジしようとしているというご自身の気持ちに誇りを持って、受験勉強頑張ってください!

この駄文を最後まで読んでいただけるような真面目な皆様の努力が報われますように。
合格を祈願しております。